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旅の報告21
モロッコ・ツブカル山登頂ツアー

2011年5月下旬。モロッコのツブカル山登頂ツアーに同行しました。
そのレポートをお届けいたします。(エスコートガイド/柴田 岳)

北アフリカの一角に位置するモロッコのツブカル山は、アトラス山脈の最高峰で標高は 4,167m。富士山よりも約 400 m 高いため、高所への順応が登頂のカギのひとつとなります。今回のツアーは日本発着8日間のコンパクトな日程で、1日目の夜に成田空港を出発して機中で2日目を迎え、中東のドバイで航空機を乗り継ぎ、モロッコの首都のカサブランカに到着。それから専用車でマラケシュに移動して、翌日からの登山準備や高所順応と高山病のブリーフィングなど、登山に向けた最終の確認をします。

ツアー3日目 ●

専用車で登山基地となるイメリル(1,740 m)に移動して登山の開始となります。イメリルは谷沿いにある小さな町ですが、この季節はツブカル山に登る人達で賑わっています。主に旧宗主国のフランスや隣国スペインの人が多いようです。
今日はツブカル山アタックのベースとなるネルトナ小屋(3,200 m)まで歩きます。登山道はよく整備されていて歩きやすいですが、標高差が 1,500 m あるので、ゆっくりとリズムよく歩きながら体を徐々に高度に馴らしていきます。途中、道沿いに咲く日本で見られない花々が目を楽しませてくれます。

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荷物を馬に預けたら出発。トレック開始からしばらくはいくつかの集落を通過します。地元の人とのあいさつはフランス語、アラビア語、ベルベル語、英語、そしてたまに日本語だったりと、結構な多言語です。 やがて緑はまばらになり、岩石がむき出しの荒涼とした世界へと変わっていきます。道は傾斜が緩いので、高所順応にはうってつけです。

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ランチは S’Chamharouch(2,300 m)でとりました。しっかりとした売店や食事スペースがある唯一の場所です。

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メニューは野菜、チーズ、パン、魚の缶詰など。料理は味付けが薄いので、それぞれの料理を好きな割合で混ぜ合わせて自分で好みの味に整えていくスタイルです。山のガイドさんによると、パンの代わりにクスクスであっても米であっても同じ食事スタイルだそうで、結構おいしいです。

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S’Chamharouch から先は多少、道が荒々しくなりますが、日本の登山道よりも快適です。傾斜も最初は少しきついですが、段々と緩くなります。ただし、標高が上がってくるので慌てずにゆっくりと歩いて行きます。周囲の景色は山と谷と雪、そしてときどき雲。アトラス山脈の奥深くへ来たんだなと実感させてくれます。

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谷の奥に雪が見えてきたらネルトナ小屋はもうすぐです。最後までゆっくり歩いて、明日のために力を残しておきます。 ネルトナ小屋は石でできた立派な小屋で2軒並んで建っています。今回、私達は手前の大きな2階建ての小屋に泊まりました。

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小屋にはいくつかの部屋があって、二段ベッドが設置されています。部屋はベッド以外は何もなく寝る時は持参の夏用シュラフを使います。シュラフが無い場合は、小屋で毛布を貸してくれます(有料)。なお、電気は自家発電で、夜10時半以降はいつ消されるかわからないのでヘッドランプは必携です。


ミントティーを頂いたら夕食。そして通常は翌日に備えて早めの就寝となりますが、今年は寝る前にもうひと仕事。全員分のアイゼンを合わせました。もう6月になろうかというのに、今年はネルトナ小屋から上のルートにかなりの雪が残っていて、これには正直驚きました。ガイドと私で手分けをして全員分のアイゼンを靴に合わせてテラスに出てみると、真上を天の川が流れていました。どうやら明日はいい天気になりそうです。

ツアー4日目 ●

パンやジャム、チーズで軽く朝食をとったら頂上アタックに出発です。天気は快晴。絶好のアタック日和。外は薄暗いですが冷え込みはそんなに強くありません。長袖のTシャツとシャツを重ね着して雨具を着て手袋を着用。小屋の裏からさっそく雪の上となり、谷に入ったところでアイゼンを装着。ジグザグを切ってゆっくりと斜面を登ります。雪は締まっているので歩きやすく、難しい所もありません。単調な斜面をひたすら登って行きます。

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谷に日が当たる頃になると上部の様子が見えてきますが、そこは真っ白な世界。どうやら今日はアイゼンを外すことはなさそうです。ほとんど雪のない例年の5月下旬のツブカル山のイメージを、今年は捨てることにしました。
昨日と違って今日は傾斜のある斜面なので、休憩をとりながらゆっくりとゆっくりと高度をかせいでいきます。そして、休憩時にはできるだけ沢山の水分を摂取します。

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標高 3,500 m に達する頃になると呼吸や心拍数があがるだけでなく、頭痛や食欲不振等を感じる事が多くなるので、より一層、呼吸と歩く速さのリズムを合わせながら登って行きます。それにしてもすごい日射しと雪の反射です。谷を詰めていくと、だんだんと頂上へと続く稜線が見えてきます。谷を最後まで詰めた鞍部でランチ。稜線の先に見える頂上までは、あと1時間くらいでしょうか。そして、目を谷の反対側に向けるとサハラ砂漠の方角らしく、広大な風景にしばし感激です。

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さて、昼食後、最後の稜線を登ります。ここからは雪は少なくなり岩と雪のミックスとなりました。呼吸も苦しくなりますが、一歩一歩ゆっくりと頂上へと向かいます。周りに高い場所が無くなると、頂上のモニュメントが私達を迎えてくれます。ガイドと固い握手を交わして、登頂記念の写真を撮ったり、風景を堪能したり、皆さん思い思いの時間を過ごされました。

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登頂後、今日は頑張って小屋まで戻ります。途中、斜面が急に感じる場所がありますが、トレースを使ってゆっくり下れば問題ありません。アイゼンについた雪団子に閉口しながらも、全員無事に小屋に到着。皆さんホッとしたのか、自然と表情がほころんで笑顔になっていました。今夜の夕食は登頂記念の豪華なクスクス料理でした。

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ツアー5日目 ●

今日は登山口のイメリルまで戻ります。登ってきた道をたどって行くのですが、昨日のアタックの疲労が残っているので、少し早めに出発して無理のないペースで下山します。イメリルに着くとランチですが、ここでサプライズ。なんと、ガイドが自宅に招いてくれました。これには、一
同大喜び。食べ慣れたモロッコ式の料理とミントティーでお腹もいっぱい。最後はスタッフと握手を交わしてお別れです。

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最後に ●

今年は例年に比べて残雪量がとても多く、アイゼン歩行に慣れていない方は少々苦労されたと思います。残雪量に関しては自然現象である以上、毎年異なりますので、事前に確実なルート情報がある場合以外はアイゼンを用意した方が良いと思います。また、アタック当日は標高差 1,000 m を往復しますので、1日目に無理をせずゆっくりと歩いて体力を温存するのが登頂のコツだと思います。

レポートでは割愛していますが、日本発着8日間のコンパクトな日程でも、登山後にマラケシュのスークやワルザザードのカスバ群等の世界遺産の観光にも出かけています。比較的短いツアー日程で、こういった観光を交えながら国内最高峰の登山にチャレンジできるのも、モロッコの魅力だと思います。

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